食の来航長崎豊味館

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本社屋が目に入るとスーッとその一帯がきちんと整備されて清潔感ある食品加工場であると感じました。女性だからこその機動力をしっかりと、さらに、やさしく包みこまれていくソフトさを感じながら松尾社長のお話を伺いました。

●「株式会社　豊味館」について
食肉加工品を製造する関連会社　株式会社丸協食産を傘下に、全国の百貨店向けギフト商品やカタログ販売、インターネット通販等でオリジナリティあふれる食肉の加工品をご提供されています。
豊味館のルーツは戦後復興の真っただ中、佐世保の防空壕を利用していた食品市場、通称‘トンネル横丁’で先代のお母様がホルモンの量り売りをなさっていた頃にさかのぼります。当時は、ホルモンに対する偏見がありマイナーなイメージでしたが、ホルモンは栄養があって、おいしく、価格も安い食材です。なのに当時は、料理の仕方が分からない、また、特有の匂いが気になるという事が原因で、家庭で食する文化が存在しませんでした。
「しっかりと洗浄し、食べやすいサイズにカットし、タレで味を付ける事できっとニーズがあるはず」と、研究開発を続けられて、遂に昭和49年、先代が株式会社　丸協食産を立ち上げられました。当初は、先代が自ら朝市で試食販売を行い奔走の日々でしたが、しだいにスーパー、量販店へと販売網が広がってきたのです。現在はフライパンひとつでさっと炒めるだけのホルモン焼きを中心に、ローストビーフ、一人鍋、衣付商材などとアイテムも広げて展開されています。
そして2008年。その技術力を活かし、グルメに特化したギフト向き商品の企画販売事業として株式会社　豊味館を設立。
「ちょっと贅沢」をキーワードに、ご家庭でハレの日の食卓にお使い頂けるようなこだわりの商品であるとともに「共働き」「核家族」「高齢化」という時代のニーズにマッチした、個食で簡単調理の小分けタイプの商品を企画販売する事業展開です。

●商品について
メディアで取り上げられて人気商品になった「黒豚ロールステーキ」は、副社長であるお母様が夢で見たものを商品化して欲しいと言われたのがきっかけで誕生しました。
なんと、某有名百貨店のお中元市場惣菜部門で一位になった時もありました。
「わが社の黒豚ロールステーキは人の手で作り上げる手巻きじゃないとできません。なぜなら、ふんわりとしたエアリー感が出せないからです。職人達は毎日、厳しく管理された寒い作業場で、厚さ1ミリ以下の豚薄切りを一日中巻いています。」とご自慢の商品です。すでに20年来参加している県の物産展では、プライベートでご来店の森公美子さんが気に入って下さり、多くの番組で紹介され、あるトーク番組では数秒の放映にも関わらず、ネット回線がパンクするほどの反響でした。
また、近年人気上昇なのが「牛テールカレー・ゴロット」。肉屋だからこそ出来る、お肉に特化した商品にしたいという思いで開発と研究を重ね、その長年の努力が実って男性のこぶしサイズの牛テール肉の塊が入った、前例のないレトルトカレーが誕生しました。しかも、大きさにこだわったので1頭から3袋しかできないこだわりの一品です。こちらも、豊味館の代表的な商品のひとつとなり、おいしいものには、お客様は喜んで納得した代価を支払って頂けるという事を実感したとお聞きしました。
最近は日常使いを意識したおしゃれなバル（Bar）のアラカルト、また、健康志向食品としてのおかゆなどの開発販売などにも視野を広げられて、すべての商品は肉屋がつくるおいしい商品であることを前提に、その商品にある背景や、一貫したこだわりをもってお客様の潜在ニーズに応えることができる商品作りをこれからも展開していかれます。

●企業としての社会的責任について
松尾社長
「食肉加工工場の丸協食産との共同企画で製造できる環境が豊味館の強みです。これからも食の好奇心を満たす創意にあふれたチャレンジで、共働き、核家族、高齢化という時代のニーズにマッチしたおいしさと、手早く簡単に食べられる小分けタイプの食肉加工品を企画していきます。そして、これからも、商品パッケージには「長崎佐世保発」と入れるようにいたします。理由は、まずは地元長崎、佐世保の方々に愛される地元密着企業になりたいという思いがあるからです。ホームグランドであるこの街に少しでも貢献したい思いです。行く行くは「佐世保ご当地グルメといえば豊味館」となれたら本望です。」

取材中、家庭では同じ主婦としての日常のことや、お仕事では食べる人の幸せな顔をこまやかに思いながらお話しして下さる社長のお姿と、豊味館の社員の皆さま、おひとりおひとりが真摯でさわやかな表情が印象深く残っています。
これが「佐世保から元気な長崎を発信！」のパワーだと感じました。