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たくさんの車が行きかう道路沿いでひときわ色鮮やかなお店の佇まいで、創業から68年、3代にわたって長崎胡麻豆腐を創業以来変わらない製法で生産販売されている法本胡麻豆腐店様をご紹介します。法本専務取締役にお話をいただきました。

・「長崎胡麻豆腐」としてのこだわり
ルーツは1654年、隠元禅師によって長崎の興福寺へ伝わった「普茶料理」(中国からもたらせられた中国の精進料理)のひとつの胡麻豆腐です。黄柴宗系寺院や周辺で広がりあまねく茶を喫する「普茶」として、法要の前後に僧侶たちが集い、お茶をいただきながら打ち合わせや反省をする「茶礼(されい)」や、「謝茶(じゃちゃ)」という打ち上げの食事をする黄柴宗のみの習慣で、円形の卓を上下のへだてなく囲み親睦をはかる席でした。
本来、長崎の胡麻豆腐は甘くて褐色でもちもちして、甘さはシュガーロードの影響と砂糖が贅沢品であることが特徴で、加えて茶人の千利休は胡麻が好きだったようです。

・「焙煎」
各地の物産展に行くと胡麻豆腐が「甘い」と、意外な顔をされて、最初は売れなくて苦労しました。胡麻豆腐を日常的に食する長崎では多種多様で値段が安くてライバルも多いのです。しかし、当社の製法は創業以来変わらない工程で自社で焙煎し、石臼で丁寧に滑らかにペーストにした胡麻が原料だからこその煎りたて擂りたての香ばしさを醸し出しています。厳選した胡麻は社長しかできない煎り方、深煎りによって、こくのある茶色とわずかな胡麻の苦みに砂糖の甘さが融合して伝統的な味の胡麻豆腐となります。

・「こだわり」
味はシンプルに、胡麻、葛粉、粗糖、塩のみです。胡麻豆腐の種類は黒・白・茶の三種類。
本葛粉は南九州の山野に自生する葛根を掘り起して手作業で作られたものなので食感が違います。地元長崎五島の天日塩と、甘さの粗糖は上品な甘さとミネラル豊富な鹿児島喜界島産のサトウキビを煮詰めて乾燥したもので増粘多糖類を入れているところもありますが当店は60年の伝統の製法と、安心安全を守っています。
お料理としては白の胡麻豆腐をおすすめします。そもそもは夏の商品なので冬は売れないという実情から冬用の「鍋用胡麻豆腐」を開発しました。その鍋用胡麻豆腐は加熱するとモチモチとして子供にも人気ですし、お吸い物にも喜ばれます。また、かつおだしベースの「卓袱胡麻豆腐」はちょっとわさびをつけるとお酒にばっり!!合います。

・「海外進出」について
ヨーロッパはベジタリアンが多くて、健康食、トランス脂肪酸への関心が高いので胡麻豆腐の需要があります。2週間に1回はロンドンのピカデリーサーカス近くにあるジャパンセンター(日本人経営のスーパー)に、何百丁単位での冷蔵胡麻豆腐を輸出しているほどです。お客様の層は日本人だけでなくて白人系、アジア系の方もいらして、店頭だけでなくジャパンセンターのネット通販では、特に黒胡麻豆腐が独特の香ばしい香りと注目されています。色が苦手という方もあるのですが売り上げは好調です。海外でも小売りはありますがレストランでの販売も多くて、ラーメン1杯が2000円のジャパンセンター経営のラーメン店のサイドメニューにもなっています。ちなみに、胡麻豆腐は6.5ポンド(約900円)です。

中国には胡麻豆腐を食べる習慣がなくて、中国から来た胡麻豆腐ですが一般のスーパーで展示試食会を開催して試食をおすすめしてもピンと来ない様子で前回JETROの商談会で香港に行った際にわかりました。(笑)。しかし、現地では黒ごまスイーツは存在するので、黒ごまスイーツを食べ歩いて開発をしました。 10月にはそれで出展する予定です。

フランスではフランス人の舌が敏感であることを再認識しました。なぜなら、素材は素晴らしいがフランス料理には欠かせないソースを合わせるのが難しいとの意見でした。プライドが高い国民性もあり、よほど気に入っていただかないと難しいようです。

アメリカもテスト販売を2回チャレンジしました。全土でローカロリー食品の人気が高い社会なので、砂糖を減らせばいいとアドバイスされましたが、砂糖を入れるのが長崎風なので葛藤があります。

胡麻豆腐は長崎の郷上食であり、その文化を残すため製法を変えないで大手ができないことで頑張っています。現在の日本の高齢者の方は、本来の日本人にあった食生活をしてきた方が多いのでお元気な方が多くて、私の祖母は老衰で亡くなりましたがその食生活の影響か内臓が綺麗なまま、苦しまずに亡くなりました。そのことから、食生活の大切さを同じ女性にもお伝えしたいと日々思っています。また、東京進出時にある方のご紹介により「良い食品つくりの会」に加入し、同じ思いの方々と連携して勉強をしています。また、海外へ日本のこの文化を伝えたいと願っていて、何年もトライし続けてやっと、海外との取引ができることになりました。「計算して動くのではなくて、動くことで世界が変わる」「初めの一歩が大切」と社長はいつも話しています。2年半前にこの店舗をオープンして、一生懸命やってきただけで、今は店頭に立っていますが以前は365日長靴を履いて工場に入り、子育てしながらやってきました。
長崎市内では味が甘いのがお好きだから少々“さびなか”と言われたりしますが、チョーコー醤油さんにお願いして直伝の調合で作ってもらっているこだわりの味噌だれ、ゴマだれをご用意していますのでぜひ、お試しください。築町の中嶋屋、夢彩都、とれとれ旬家にて販売されています。また、東京では日本橋高島屋でも販売しています。

追記
店内のおしゃれなカフェで食べることができるメニューでは、食感にこだわって、わらび粉を使った胡麻豆腐がお勧めです。わらび粉は高級品なので普段はあまり他では食べることができない食材です。
取材後、卓袱胡麻豆腐、温泉湯豆腐、グリーンティーを試食としていただきました。法本専務は日本酒好きとのことで、日本酒のあてによいものをチョイスしていただきました。ありがとうございました。__

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有限会社 法本胡麻豆腐店(ほうもとごまとうふてん)
〒859-3242 長崎県佐世保市指方町570-1
お問い合わせTEL: 0120-27-5083
http://www.houmoto.co.jp/